2024-03

2009・3・16(月)スクロヴァチェフスキ指揮読売日本交響楽団の
ベートーヴェン:「荘厳ミサ曲」

  サントリーホール

 先日のエネルギッシュなブルックナーの「交響曲第1番」に続く、常任指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキによる「ミサ・ソレムニス」。こちらは定期だ。

 聴くたびに思うことだが、この人、本当に若々しい。今年10月で86歳になるのに、舞台出入りの際は歩くのも速いし、全曲80分以上に及ぶ演奏の間も曲間を含めてずっと立ったまま、しかも指揮の身振りは非常に精悍で素早い。
 それが演奏にも表われていて、テンポも速めであり、音楽の表情もきりりと引き締まっている。「クレド」の中盤、アレグロ・モルトの部分が進むに従い、猛烈なアッチェルランドをかけて行くところなど、とても高齢の指揮者とは思えない音楽のエネルギーを感じさせた。16型編成でありながら響きは軽めで、むしろピリオド楽器オーケストラの明晰さに近い音色である。
 
 ただし読売日響の方は、それほど引き締まってはいないようで、この老巨匠の勢いについて行くには少々ガタガタしているきらいがある。先日のブルックナー同様、アンサンブルは少々ラフだ。もともとスクロヴァチェフスキは音をピタリと合わせるタイプの人ではないことは事実だが――。
 たとえば、「アニュス・デイ」の中ほどでティンパニのリズムに乗せ、トランペットが一度目は遠くから響くファンファーレのように、二度目には荒々しく咆哮するように演奏する印象的な個所があるが、そのあたりなどは、もっと丁寧に整えてもらいたいものであった。
 恐れていた読売日響の「合奏力の荒れ」が、またぞろ姿を現わして来たのでなければ幸いである。

 声楽ソリスト(オーケストラの後方に位置)はインドラ・トーマス(S)、シャルロット・ベルカント(A)、ロイ・コーネリアス・スミス(T)、ジェームズ・ラザフォード(Bs)といった人たち。何か歌いぶりが慌しく、スクロヴァチェフスキのようなタイプの指揮に慣れないのかという気もして、あまり感心しなかったが、いずれもまだ若い世代だとのこと、まあ仕方がない。

 新国立劇場合唱団(P席=後方客席に位置)のコーラスは、音量の上でも非常に強力だ。サントリーホールでは、正面に座るとP席の合唱が物凄く大きく聞こえるものである(マーラーの「千人の交響曲」の時には危うく難聴になりかけたほどだった)。もう少し柔らかく、ふくらみのある発声の方がいいのではないかと思ったが――やはりスクロヴァチェフスキの、粒立ちのいい響きを求めるという好みに拠ったものか。

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