2024-03

2023・6・30(金)山田和樹指揮バーミンガム市交響楽団

     サントリーホール  7時

 山田和樹とバーミンガム市響の、これが2回目の日本公演。
 前回(☞2016年6月28日)は、彼は単なる客演指揮者としての同行だったが、今回は首席指揮者兼アーティスティック・アドヴァイザーという堂々の肩書での凱旋公演である。

 東京公演3日目(最終日)の今日は、生誕190年のブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」(ソリストは樫本大進)と、生誕150年・没後80年のラフマニノフの「交響曲第2番」を組み合わせたプログラム。なお、オケのアンコールはエルガーの「夜の歌」。樫本のアンコールはバッハの「無伴奏パルティータ第3番」からの「ルール」だった。

 とにかく、オーケストラの音があたたかく、まろやかで艶やかで、しかもどんな最強奏の個所においても、見事なほどの均衡を保っているのに驚かされた。首席指揮者に就任したのが今年4月という、つい最近のことなのにもかかわらず、山田和樹がこのオーケストラをかくも完璧に制御できていることには、ただ感服するほかはない。彼がこれまで日本フィルや読響を指揮した時にさえ、これほどの完璧なバランスを保った響きをつくり出した演奏は、ついぞ聞いたことがなかったような気がする。彼とこのバーミンガム市響との相性は、よほどいいのだろう。
 少なくともこのオケの演奏が、2013年に当時の首席指揮者アンドリス・ネルソンスと来日した時より、遥かに指揮者と呼吸の合った美しいものだったことは間違いない。

 協奏曲では、ブラームスの音楽がもつヒューマンな優しさを前面に押し出していたが、同時にドイツ音楽らしいがっちりとした構築性にも富んでいた。
 特に第3楽章では、アレグロ・ジョコーソとヴィヴァーチェの指定を存分に生かし、嵐のような激しさにあふれて引き締まって、緊迫感も充分。気魄で突き進む樫本大進との丁々発止の応酬と、しかもイキの合った対話の面白さ。それでいながら両者の演奏が全く乱れず、整然たる均整を保っているのだから凄い。私がこれまで聴いたこの曲の演奏の中でも、最も胸のすくような快演のひとつだったと言っても過言ではない。

 ラフマニノフの交響曲も好かった。どんな最強奏の個所でも音がまろやかで、しかも緻密な均衡を失わぬため、華麗で豪華な音の饗宴というよりは、あたたかく美しい壮大な絵巻といった感の演奏だったが、とかくガリガリした音の威圧的な演奏によるこの曲を聴くことの多い最近、これは心が慰められるような「2番」だったというのが私の印象である。オーケストラの音に素晴らしい重量感があったということが、この演奏を安心して聴けた理由のひとつでもある。

 終演後に楽屋で会ったマエストロの曰く「昨日の方が大ホームランだったのにィ」とのことだったが、今日の演奏だって図抜けて見事なものだったと思う。でもやはり、昨日も聴きに行けばよかった、と後悔。

コメント

兵庫で拝聴しました!

6月24日の兵庫県立芸術文化センターでの公演を拝聴しました。樫本大進さんソリストのブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」と、エルガーの「交響曲第1番」。マエストロ山田とバーミンガム市響との相性の良さが、際立つ公演でした。前回拝聴した時よりも、素晴らしく感動的でした。樫本さんも、拝聴する度に進化されていて、円熟の時ですね。オケとマエストロとソリストの饗宴。素晴らしいひととき。拝聴できて良かったです。終演後、オケバスをお見送りしました。皆様、やりきった感の良い表情をなさっていました。Bravi!!

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