2024-02

2023・7・3(月)METライブビューイング「ドン・ジョヴァンニ」

      東劇  6時20分

 5月20日にメトロポリタン・オペラで上演されたモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の映像。

 イヴォ・ヴァン・ホーヴェによる新演出版だ。演出家本人の語るところによれば、今回のドン・ジョヴァンニは、本来の副題でもある「罰せられた放蕩者」が、その性格解釈の基本になっているとのこと。

 その他、「暴力」と「夜」も重要なキーワードだそうだが、確かに第1幕大詰めにおけるドン・ジョヴァンニの暴力と、それに抗うツェルリーナの演技などは、かなりリアルなものがあった。また、この物語の場面のほとんどが「夜」であるというホーヴェの指摘も、相手の判別すらつきにくい状況がドラマの重要なポイントになっていることのバックグラウンドとして、納得が行く説明である。
 さらに、騎士長の銅像も現れず、ほとんど生身の血まみれの姿になって出現するなどという設定もあって、これまでのMETの「ドン・ジョヴァンニ」とはかなり趣を異にした演出となっているのが興味深い。

 指揮は、何とナタリー・シュトゥッツマンだ。これがMETデビューだそうだが、ついに彼女もそこまでになったか。しかし音楽のテンポは実によく、スピーディで推進性も豊かだし、モーツァルトの音楽の素晴らしさを充分に感じさせるという指揮なので、これは成功していると言っていいだろう。

 歌手陣は次の通り━━ペーター・マッテイ(ドン・ジョヴァンニ)、アダム・プラヘトカ(レポレッロ)、フェデリカ・ロンバルディ(ドンナ・アンナ)、ベン・ブリス(ドン・オッターヴィオ)、アナ・マリア・マルティネス(ドンナ・エルヴィーラ)、イン・ファン(ツェルリーナ)、アルフレッド・ウォーカー(マゼット)、アレクサンダー・ツィムバリュク(騎士長)。

 この顔ぶれ、いずれも粒が揃っている。マッテイの題名役は、演出の意図通り、色男というよりも暴力的な悪者というイメージだ。ブリスのドン・オッターヴィオが、よくありがちな優柔不断な男ではなく、かなり毅然とした男として描かれているのが興味深い。イン・ファンの愛らしさ、ロンバルディとマルティネスの巧さも印象に残る。

 上映時間は3時間43分。

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