2024-02

2023・7・8(土)広上淳一指揮日本フィル 「道化師」

      サントリーホール  2時

 日本フィルが定期でオペラを手がけるのは久しぶりだ。今回は「フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)」という肩書の広上淳一が指揮して、レオンカヴァッロの「道化師」を演奏会形式で取り上げた。
 声楽陣は笛田博昭(カニオ)、竹多倫子(ネッダ)、上江隼人(トニオ)、小堀勇介(ペッペ)、池内響(シルヴィオ)、東京音楽大学の合唱団、杉並児童合唱団。コンサートマスターは扇谷泰朋。

 ソロ歌手陣はステージ前面に譜面台とともに位置し、合唱はステージ後方に位置する(P席には客を入れている)。
 演奏会形式上演の強みで、広上はフル編成のオーケストラを豪快に鳴らし、「道化師」のオーケストラ・パートをすこぶるシンフォニックに響かせ、このオペラを劇場で聴くのとは一味違った魅力を感じさせてくれた。日本フィルの渾身の演奏をも讃えたい━━このオーケストラは、近年本当に表情豊かになったと思う。

 歌手陣も充実していた。カニオ役の笛田博昭の、豊かな声によるドラマティックな歌唱は、何を措いても特筆されるべきであろう。彼を起用したことが、今回の上演を成功させた最大の要因といってもよいほどである。ネッダ役の竹多倫子も後半に至って劇的な迫力を全開させた。合唱も馬力充分。

 音楽的には斯くして大成功を収めた上演ではあったが、このような純粋な演奏会形式の場合、特にラストシーンなどにおいて、ふだんオペラに馴染んでいない人が、登場人物がどうなったか━━つまり道化師カニオがネッダの情人たるシルヴィオを殺してしまうくだりが、瞬時に理解できたかどうか、いつも気になるところだ。
 セミステージ形式上演なら、歌手がちょっと身振りを入れれば解るだろうけれども、今日のように直立不動に近い姿勢のままだと、何がどうなったのか、ちょっと解り難いのではなかろうか? 

 事前に解説を読んでおけ、と言えばそれまでだが、それだけではちょっと不親切のような気がする。字幕に例えば「(カニオ、シルヴィオを刺す)」とかなんとか、ほんのわずかでいいから一言載せれば、それだけでも随分違って来ると思うのだが、如何に?

コメント

歌手の動きと指揮者の動き

前日の公演を拝聴。歌手はいずれもレベルが高く、満足度の高いオペラ上演となりました。ただ、最後のところでもう少し動きがあるべきとのご指摘はまさにそのとおりと感じました。東京・春・音楽祭の「トスカ」、ノット指揮東響のR.シュトラウスシリーズなどをお手本にすれば、演奏会形式でもそれなりに臨場感のある舞台が創れると思うのですが。

一方、指揮者が指揮台の上でまあ激しく動き、踊りまくること(笑)。小生は広上さんの指揮、音楽作りは決して嫌いではない(むしろ好きで、高く評価しています)し、彼の飛び跳ねるような指揮はいつものこととは言え、演奏会形式のオペラでは些かオーバーアクションではないか、歌手への集中がそがれてしまう、との印象が否めませんでした。

オペラではオケは伴奏に徹しろ、目立つな、なんて言うつもりは全くありませんし、むしろ音楽的には精一杯目立ってほしい(それが公演を成功に導く)と思っているのですが、歌手と指揮者が同じ視界に入る舞台では、主役はやはり歌手であり、指揮者はもう少し抑制的な動作でオケの音楽的表現を引き出すべきではないかと感じた次第です。諸賢各位のご叱正をいただければ幸いです。

最高でした!

上期最後の名演でした。広上さんは5月定期のプログラムで「道化師はアリアばかりでなく、オケ、コーラスも主役を演じる烈しくも美しい作品だ」と述べていましたが、正にその通りの見事な演奏でした。笛田さんを筆頭に歌手も素晴らしかったが、自発性溢れ輝くダイナミックな音楽を作り出した広上さんには感嘆!でホールオペラの醍醐味を堪能しました。彼のアクションは個性でもあり小生はむしろその意気込みに圧倒されました。そして終演後は歌手を前面にだす姿勢にも感じいりました。今後、オペラのコンサート形式上演プランがあるとのこと。期待しております。

表現、指揮の妙

 小生も東条氏、KEN氏に賛成で、最近は演奏会形式でも必要に応じ、ジェスチャーや本オペラさながらの動きで行うことが多くなっている。声楽、総合芸術として理にかない、理解に有効だと思う。今回のキャストは短時間の稽古でそうした動きのできる方々だし、最後だけでもジェスチャー程度は欲しい所である。
 また、作品の文学的内容や繊細な部分、心理的な部分をも描く声楽で、適切な表現や振り方も、通常の管弦楽曲とはまた違ってくると思う。合唱指揮者でも曲に見合わない、変にオケのような大振りする人が多いがこれも同様な課題と思う。
 逆に、指揮者によって、ウンウンうなづくジェスチャーを多く続ける人も見かける。これもオケの自主性や流れを大事にしたという説明がなされるが、結局、肝心な部分の解釈やテンポの設定が有耶無耶なことが多い。
 作品により、曲の場面場面で、または、演奏会の性格により、どう指揮ぶりを合わせてゆくか、その変化の妙を小生も演奏会各々に期待しているところである。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・衛星デジタル音楽放送
ミュージックバード(エフエム東京系) 121ch THE CLASSIC
「エターナル・クラシック」
(毎週日曜日 12:00~16:00放送)出演

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中