2024-02

2023・7・15(土)アラン・ギルバート指揮東京都交響楽団

      サントリーホール  2時

 東京都響の首席客演指揮者アラン・ギルバートが、ニールセンの序曲「ヘリオス」と「交響曲第5番」、それにラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」(ソリストはキリル・ゲルシュタイン)を指揮した。コンサートマスターは水谷晃(客員)。

 アラン・ギルバートは、現在NDRエルプ・フィル(北ドイツ放送響)首席指揮者と、スウェーデン王立歌劇場音楽監督を兼任するという活躍ぶり。
 その所為だけでもないだろうけれど、彼の音楽も昔とは全く変わり、陰翳と、巧味とを増した。彼が北欧デンマークの作曲家ニールセンの音楽をこれほど見事に指揮する人になっていたとは、嬉しい限りである。

 「ヘリオス」でのクレッシェンドの巧さ、「第5交響曲」での一種怪奇な奥深さなど、なかなか素晴らしいもので、特に後者では、私は聴いているうちに、あの北欧の妖怪トロルの不気味な絵(現地で買った置物の人形はちょっとコミカルに過ぎたが)を連想してしまったほどだ。都響も巧い。

 ラフマニノフの協奏曲でも、アランのオーケストラの制御の鮮やかさに感服させられた。第1楽章冒頭の序奏で、オーケストラが揺れるように始まる個所で、あんなに明晰なリズム感を持った演奏は、めったに聴けないものだろう。
 だが、何より感心し、納得させられたのは、彼が最強奏の個所でもオーケストラを殊更に咆哮させず、終始くぐもった音色のまま盛り上げて、全ての個所でソロ・ピアノが明確に聞こえるようなサポートを繰り広げていたことだ。

 ゲルシュタインの一種透明で清澄なピアノも、それでこそくっきりと浮かび上がることができるというものだろう。
 こんな巧みな「芸当」は、昔のアランからは想像もつかないことではなかったか。彼はいい指揮者になった。

 ゲルシュタインのピアノもあまりに美しい音色なので━━ラフマニノフの協奏曲でこういう音色が聴けるとは予想していなかったので、日頃オケの演奏会でソリストがアンコールをやるのにはあまり賛成できなかった私も、1曲くらい何かやってくれないかな、という心境になったほどである。おそらく、ソロ・カーテンコールを続けていた多くの聴衆も、同じような気持だったのでは? 

 残念ながら客電は全て上げられ、カーテンコールにはアランも一緒に出て来てしまい(!)、お客さんたちもそれでやっと諦めて帰った。

コメント

ラフマニノフのコンチェルト、第1楽章のテンポのとても速いこと。そのためかゲルシュタインのピアノの音は濁り、オーケストラ部分の輪郭も曖昧に感じた。
第2楽章からは、少し速いかな?と思う程度に収まり、オーケストラとピアノと歌い上げる美しいラフマニノフが聴けた。
あのテンポ設定はゲルシュタインのものなのだろうか?
出だしのギルバートの振りが速くく、一瞬「えっ?」と思った。

ゲスト・コンマスが水谷晃さんだったのは嬉しかった。
東京交響楽団を退団し、今度はどこで聴けるのかと思っていたら、本日の公演でゲスト・コンマスとプログラムに掲載されて、嬉しい驚きだった。

今後ゲストではなく、四方さんの後任として、正式に就任されるのだろうか?
そうなればいいのに…。

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