2024-03

2023・7・18(火)METライブビューイング「魔笛」

     東劇  7時

 今シーズンの「METライブビューイング」の最終演目は、去る6月3日にメトロポリタン・オペラで上演された、サイモン・マクバーニーの新演出によるモーツァルトの「魔笛」。

 指揮は、先日の「ドン・ジョヴァンニ」と同じく、ナタリー・シュトゥッツマンだ。
 主要歌手陣は次の通り━━ローレンス・ブラウンリー(タミーノ)、エリン・モーリー(パミーナ)、トーマス・オーリマンス(パパゲーノ)、キャスリン・ルイック(夜の女王)、スティーヴン・ミリング(ザラストロ)、ブレントン・ライアン(モノスタトス)、ハロルド・ウィルソン(弁者)、アシェリー・エマーソン(パパゲーナ)。

 METの「魔笛」は、ジュリー・テイモアの演出とゲオルギー・ツィーピン美術によるプロダクション(これは私もMETで観たが、実に幻想的で美しい舞台だった)が長いこと人気を得ていた。だが、METのSEASON BOOKを見ると、どうやら今シーズンの前半まではそれが上演され、シーズンの終り近く(5月19日)にこの新演出がプレミエされたような様子である。

 インタヴューアーのベン・ブリスが「画期的」と盛んに持ち上げているその新演出は、「1791年のアン・デア・ウィーン劇場での初演の時代のローテク・スタイルと、現代のハイテク・スタイルとをミックスさせたもの」とのこと。
 客席からよく見える場所に位置した「効果音係」が大活躍したり━━映像にもしばしば現れるが、これは実に見事だった━━、アナログ的な手作業で作る舞台デザインがプロジェクション・マッピングで投映されたり、大勢の者たちがパパゲーノを囲んで「紙」で小鳥が舞うのを表わしたり、などという手法も使われていた。

 映画として視ると、なんだかゴチャゴチャした舞台のように感じられるが、ナマで観ればおそらく印象が異なるのだろう。記録映像だけで判断するのは危険だ。
 演劇的な特徴としては、ラストシーンで、ザラストロが夜の女王を許して和解するという流れになっている。ただしこれは、特に目新しい手法ではないが。

 音楽の面では、まずシュトゥッツマンの指揮がかなり劇的で引き締まっており、頂点への盛り上げ方の巧さが目立つ。彼女の指揮については、正直なところ、私はこれまであまり共感を持っていなかったのだが、今度のモーツァルト2作の指揮ですっかり見直してしまった次第である。

 歌手陣には、どうも役柄のイメージとあまり合っていないような雰囲気の人もいたようで‥‥。だが抜きん出て光っていたのは、夜の女王を歌い演じたキャスリン・ルイックだ。いかにもダークサイドから出て来た恐ろしい老婆というメイクで、車椅子に乗って周囲を威嚇しつつ、あの高音のコロラトゥーラをいとも易々と迫力充分に歌ってのける。METの現場での拍手と歓声も凄かったが、東劇の客席でも、何人かの人たちが拍手をしていたほどだった。
 「3人の童子」が幽霊か骸骨のような姿で現れるのは、少々気持が悪い。

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