2024-03

2023・7・22(土)フェスタサマーミューザKawasaki ノット指揮東響

       ミューザ川崎シンフォニーホール  3時

 恒例の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」が今年も開幕した。東京・神奈川のメジャー・オケ9団体に、ゲストとして山響とセンチュリー響を迎え、昭和音大と洗足学園音大のオーケストラも加えて、8月11日まで開催される。会場はここミューザ川崎と、一部は新百合ヶ丘の昭和音大テアトロ・ジーリオ・ショウワでも。

 今日はその初日で、例年通り、ホスト・オーケストラの東京交響楽団の演奏で始まった。 
 指揮は人気の音楽監督ジョナサン・ノットだが、プログラムは何とチャイコフスキーの「交響曲第3番《ポーランド》」に、「交響曲第4番」という、予想外の選曲。ノットがふだんはほとんど指揮していないチャイコフスキーの交響曲に、どんなアプローチを加えるか、ということに興味が集まるだろう。

 予想通りこれは、実にユニークなチャイコフスキーだ。昨夜のカンブルランとハンブルク響のチャイコも一風変わったものだったが、今日のノット指揮のそれは、少なくとも私には、これまで聴いたことがなかったようなスタイルの演奏に感じられる。
 極度に端整な表情、几帳面な構築、過度な激昂を抑制した節度のある響きとテンポ、(特に「4番」での)トランペットが決して突出しないような均衡を保ったオーケストラのバランスなど━━。いわばそれは、「地味なグレーのスーツにネクタイをきちんと占めた」チャイコフスキー像にでも喩えるか。

 さすがノットが「他の人がやらないようなチャイコフスキーを」と言うだけあって、ここまで徹底した独自のアプローチを打ち出し、チャイコフスキーの交響曲を別の面から見ればこういう音楽になるがどうだ、と言わんばかりの演奏に仕上げたそのセンスには、感動したかどうかは別としても、ただもう感服するしかなく、東京響の整然たる演奏にも感心した次第であった。

 その一方、こういう演奏がチャイコフスキーの音楽の持つ美点をかなり薄めてしまったのではないか、という疑問も抑えきれないのだが━━。
 美点とは何だ、と訊かれると、一概には言えないのだが、例えば彼の管弦楽法が持っている類い稀な色彩美といったもの。これはやはり、かけがえのないものではなかろうか? それに特に「3番」では、一種の舞踊的な感覚といったもの。これもやはり大切なのでは?

 だがノットと東京響に敬意を表して、今日の演奏で、その美しさにハッとさせられた個所を挙げておこう。それは「4番」第2楽章での弦の歌とハーモニーのしっとりとした情感の素晴らしさである。ここはやはり、「4番」の中でも不動の美点とでもいうべき部分だった。

コメント

配信がなくて残念です!

毎年、配信拝聴して、楽しませていただいてましたが、今年から配信がなくなり、残念です!フェスタさんのご成功をお祈りしています!

仰る通り······『極度に端整な表情、几帳面な構築、過度な激昂を抑制した節度のある響きとテンポ、トランペットが決して突出しないような均衡を保ったオーケストラのバランスなど。いわばそれは、「地味なグレーのスーツにネクタイをきちんと占めた」チャイコフスキー·····。
非常に美しく整ったチャイコフスキー。ホールの響きがとても良いことから、CDで聴いているような…。

ノット独自の解釈、普段は隠れているような旋律がオーケストラのどの場面でどのように浮かび上がって来るのかといった、内声部の扱いと、新たなチャイコフスキーを期待していたけれど、普通の名演。
オケも流石にノットが振っているから全力で弾いていて、その熱気が演奏から窺えるものの、至って普通にしか聴こえなかったのは残念。

3番のシンフォニーはゲルギエフ、アシュケナージがN響で、小林研一郎が日フィルで、スヴェトラーノフがロシア国立響で振ったのを聴いているが、ゲルギエフ、アシュケナージ、スヴェトラーノフの方が興味深く聴けた。

さてこのフェス、開催を重ねて行く内に、チケット代金が値上がりしていないか?勿論諸般の事情があるとは言え、最安値の券種で4,000円とは…。
各オケにより料金設定は違うが、定期公演ではもっと安い料金で設定している楽団もあり、些か抵抗がある。
これはフェスタサマーミューザだけでなく、GW期間に開催するラ・フォル・ジュルネもそう。
演奏時間が短くても、その料金を取る?と思う公演が多数。それも馬鹿みたいに広いホールで。

前の方が指摘していた通り配信サービスが無く、昨年は幾つかの公演を除いて終演時のカーテン・コールでは可能だった写真撮影も無し。
コロナ禍としてのガイドラインが撤廃になって、コロナ禍前の公演準備だけで終わったのか? 
基本的感染症予防対策に関してのアナウンスが有ることには、安心出来るが、公演準備に関しては手を抜いた?
問合せても全く『····?』と答えられなかったので、頭から抜けていたとしか感じなかったものなので。

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