2024-03

2009・3・21(土)ユベール・スダーン指揮東京交響楽団の
シューベルト・ツィクルス最終回

    サントリーホール

 「未完成交響曲」と「ロザムンデ」の付随音楽というプログラム――好調・好評の裡に進んで来た「シューベルト・ツィクルス」が、これで完結した。
 日本で過去にどのくらいシューベルトの交響曲連続演奏会が行なわれたかは知らないけれども、おそらくこのスダーンと東響による演奏は、これらの交響曲を新鮮な息吹で蘇らせた点でも随一の存在では、と想像する。

 「未完成」も――不遜な言い方で恐縮だが――やっぱりこれはいい曲だ、と改めて認識させられたほどである。
 いつものように精妙で、スコアの隅々まで神経を行き届かせたスダーンの指揮だ。第1楽章、第1主題を支えるヴァイオリンが16分音符を文字通り波打つように演奏し、そのあとオーボエとクラリネットの主題を受けてホルンがスコアどおり明確に鋭くフォルツァートを響かせるのを聴くと、本当にこの曲が新鮮に息づいているさまが感じられ、そのあとの音楽への期待で心が弾んで来る。
 第2楽章での、ヴァイオリンの旋律に対応する低弦の動機も、あたかもエコーで聴くようにふくらみがあってすばらしい。

 なお、第1楽章最後で、2分音符をデクレッシェンドさせたあとの4分音符を第1ヴァイオリンだけがはっきり響かせたのは面白かったが、何か中途半端な感もなくはなかった。CDでも出たら、もう一度聴き直してみたいところだ。

 「ロザムンデ」の付随音楽を演奏会で聴く機会は、めったにない。
 今回は、「魔法の竪琴」からの転用による序曲をはじめとして9曲が演奏され、「バレエ音楽第2番」で結ばれるという構成が採られた。通して演奏されたところで必ずしも劇的に盛り上がる構成ではないのだが、しかしどの曲も美しい。
 スダーンはここでもすべての音符に綿密な配慮を施していた。東響コーラス(かなり人数は多かった)の良さもあって、私の好きな「羊飼いの合唱」も実にふっくらとした音で響いていたのがうれしい。
 なお、「ロマンス」を歌ったのはソプラノの谷口睦美。なかなかスケールの大きい歌唱を聴かせる人である。

 昨年の「2番」と「3番」のライヴを収めたCD(東響自主制作盤)も出た。「3番」は、当日ナマで聴いた印象よりもやや重い録音で、第1楽章の最初の方など、多少潤いの不足するゴツゴツした響きに捉えられているのがちょっと気になるが、このコンビの名演を記憶するよすがとしての価値は充分だ。

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