2024-03

2023・9・12(火)マリオ・ヴェンツァーゴ指揮読売日本交響楽団

       サントリーホール  7時
  
 1948年チューリヒ生れのマリオ・ヴェンツァーゴが来日、スクロヴァチェフスキ(生誕100年記念)の「交響曲」と、ブルックナーの「交響曲第4番《ロマンティック》」(ノーヴァク版)を指揮。

 スクロヴァチェフスキの「交響曲」は2003年の作で、同年ミネアポリスで初演されたものという。これが日本初演の由だ。
 第1楽章の開始部など、音楽が最弱音で動き始めたかと思うとすぐに総休止となり、それが何度も繰り返されるので、この調子でずっとやられたらたまらないなと不安にさせられたのは事実だったが、ほどなくして変化に富んだ刺激的な曲想が躍動し始め、多彩極まる管弦楽法に耳を奪われるに至った。そして、30分以上に及ぶ長さの交響曲は見事に完結してしまったのである。スクロヴァチェフスキの作曲家としての手腕に、改めて舌を巻いた次第であった。

 ブルックナーの方は、ヴェンツァーゴの指揮のユニークさに、これまた感心させられた。こういう素朴で飾り気のない、変な言い方だが「田舎のブルックナー」的な、良い意味で野暮ったさの横溢したブルックナーも面白い。しかし、それでいながら音楽の構築の隅々まで神経を行き届かせた指揮なのだから、聴く側でも納得させられてしまう。

 例えば第1楽章の第1主題の部分で、管が吹く主題の起伏に合わせて弦のトレモロのダイナミックスを微細に調整して行くといった細かい構築、あるいは第3楽章スケルツォの冒頭のトレモロの1小節目を爽やかな風が吹き始めるような音で響かせたユニークな発想、同じスケルツォのTempoⅠ以降(ブルックナー協会版総譜の88頁上段中央から)で、フルートをホルンの彼方からエコーのように━━それこそ森の奥から聞こえて来る木霊のように━━響かせた絶妙なバランス感(ここはしかし、1回目の方がうまく行っていた)など。

 それにしても、これらを含めて、指揮者の個性に対する読響の反応の見事さは、驚くべきものだった。コンサートマスターは林悠介。

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