2024-03

2023・9・15(金)池辺晋一郎80歳バースデー・コンサート

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 池辺晋一郎の傘寿を祝う演奏会で、彼の作品によるプログラムが組まれた。

 「相聞Ⅰ」と「相聞Ⅱ」(1970)、「相聞Ⅲ」(2005)、オペラ「死神」(1971)から「死神のアリア」(1978追加)、オペラ「高野聖」(2011)から「夫婦滝」と「白桃の花」、「ピアノ協奏曲Ⅰ」(1967)、「シンフォニーⅪ(交響曲第11番)《影を薄くする忘却》」(2023、世界初演)。
 演奏には、広上淳一の指揮のもと、オーケストラ・アンサンブル金沢、東京混声合唱団、古瀬まきを(S)、中鉢聡(T)、北村朋幹(pf)が参加した。主催は東京オペラシティ文化財団。

 若い時期の作品から最新作までを組み合わせたプログラミングは、池辺晋一郎の作風の変遷、もしくは多様性を窺い知るために、大変興味深い。
 例えば「相聞」の3曲のように、最初の2曲と最後の1曲の作曲時期の間に35年もの開きがある場合、若い頃の作品の方が所謂「現代音楽っぽい」気負った作風が示されるのに対し、円熟期に入った3曲目では、穏やかな叙情美が優先されているのが判る。

 もっともそうは言っても、1971年のオペラ「死神」では、決して尖った作風になっていないところなどからすると、やはり彼は初期の頃からそれぞれの性格に応じた「使い分け」の巧い人だったのだろう。
 思いだしたが、比較的最近の何かの記事に、彼が「僕はいわゆるゲンダイオンガク的な手法は採りたくない」とかいったような━━正確な引用ではないかもしれないが━━ことをコメントしていたような記憶もあるのだが‥‥。

 最後に演奏された第11番の交響曲は、東京オペラシティ文化財団と、オーケストラ・アンサンブル金沢からの委嘱の由。「第10番」と同じように、優しさの中にも翳りの濃い、一抹の不安感をも滲ませた曲想も印象に残る。もしかしたら、シンフォニーにおいて、池辺晋一郎の作風が一種のジュンテーゼ(綜合)の域に達したことが示されているのだろうか、という気がしないでもない。

 なお、オペラはもちろん日本語の歌詞だが、中鉢聡の明快な歌詞の発音がオペラの内容を如実に伝えてくれた一方、古瀬まきを(若い妖艶な死神役)のほうは発音が不明確で、何を歌っているのかさっぱり聴き取れないのには困った。

 ほぼ満席のホール、池辺に寄せられるあたたかい拍手。これだけの祝典演奏会が開催されるのも、彼の親しみやすい個性と人徳ゆえだろう。

コメント

 最近、東条氏は以前よりも辛辣なコメントが少ないが、その分、今回の古瀬さんの歌唱へのコメントには、小生も驚愕し、特に、普段、一音ずつ、一言ずつとても丁寧な表現をしている歌唱を思いおこすと、東条氏の鑑賞、評価にも誤りはないだろうし、声楽が、その時の体調による部分も大きいことを考えても、少し心配である。
 こう考えて、小生が気になるのは、コロナ中、ホールや主催の呼び掛けを無視して出待ちを繰り返し、演奏者との写真を数多くネットにあげていた人物のHPに彼女が度々、登場していることである。
 この人物の3月の記事には、御堂筋線に続く北大阪急行線の延伸について、田舎の方の人のために大阪市民の金を使うとは何事だ、などと、差別的ともとれる、意味不明な内容がある。また、以前から、サントリーホールを溜池ホールなどと記述している。これは何事か気に触り、未だ引きずってのことのようだ。
 芸術家の方々の中には、絶対に信頼できる人物、状況でなければ、サインや写真に応じない、という方々もおられる。これはある意味、強い意思で自分の芸術への理解のみをもとめる、毅然とした、自信の表れでもあり、実際の表現にもそうした確固たるものを感じることが多い。
 そこまででなくとも、状況に応じてフワフワせず、毅然とした対応ができているか、自らへの賛辞が真に善き理解者からのものなのかは、常に省みる必要があるだろう。その心がけの積み重ねは、演奏にも少しずつ影響を及ぼすものだろうと考える。
 今回の東条氏の、多少、不快感を伴った、あえての厳しいご感想も、長年の膨大な鑑賞経験の下、そうした部分への直感のようなものもふくまれるのかも知れないし、浮かれた賛辞よりも、数十倍も貴重な叱咤激励であると、小生は考える。ご熟慮の上、心機一転、今後の公演に、あらゆる面で生かしていただきたく思う。
 なお、今回の東条氏の記事では池辺氏のお名前に、誤字が散見されるので、ご報告させていただきたい。

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