2024-03

2023・9・24(日)沖澤のどか指揮京都市交響楽団東京公演

         サントリーホール  2時

 前日の京都定期公演と同一プログラムで、ベートーヴェンの「交響曲第4番」と、フランスの現代作曲家ギョーム・コネソン(b1970)の「管弦楽のための《コスミック・トリロジー》」が演奏された。
 指揮は、今年4月に第14代常任指揮者に就任した注目の若手、沖澤のどか。コンサートマスターは石田泰尚。

 2曲とも、天馬空を行く感の小気味よい沖澤のどかの指揮で、楽曲構築のバランスの良さといい、オーケストラ制御の鮮やかさといい、舌を巻かされるほどの演奏となった。特にベートーヴェンの「4番」では、何の外連もない率直な音楽づくりだったが、それが決して素っ気ないものにならず、見事な推進性に富み、快さを感じさせるものになっていたのが印象的である。

 なお細かいことだが、「4番」の第1楽章の提示部の終り、1番カッコの2小節前の、普通はカットされるチェロとコントラバスによる4分音符のへ音が、珍しくスコア通り弾かれていたような気がしたが‥‥微かに聞こえたような気がしただけなので聞き違いかもしれないが、もし本当に演奏されていたのだったら、最近では珍しい例になろう。原典総譜に対する沖澤のどかの姿勢を知る上でも興味深いことである。

 「コスミック・トリロジー」は、昨日の京都公演での演奏が「日本初演」に当たっていた由。「アレフ」(2007、2009改訂)、「暗黒時代の一条の光」(2005)、「スーパーノヴァ」(1997、2006改訂)の3部分からなる。
 たとえばステファヌ・ドゥネーヴの指揮したCD(CHANDOS CHSA5076)ではこの順番で演奏されているが、今日の沖澤&京響の公演では、「スーパーノヴァ」「暗黒時代の一条の光」「アレフ」というように、作曲年代による順番で演奏された。聴いた感じでは、全曲の流れという点で、今回の配列の方が自然なものに思える。

 作曲スタイルとしては比較的保守的なものに属するような気がするが、大編成の管弦楽を駆使して、打楽器群にも特徴があり、すこぶる多彩な音色に富んだ作品だといえようか。
 沖澤と京響の演奏は明快そのもので、私の印象では、ドゥネーヴの指揮するCDで聴いた時よりも、遥かに作品に活気が感じられた。

 日本の若い指揮者がこのような現代作曲家の大作を手がけ、鮮やかな指揮で日本初演したというケースでは、遡る61年前、若き小澤征爾がN響を指揮してメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」を日本初演した快挙に匹敵するだろう。
 聴衆だけでなく、オーケストラの楽員がこの若い女性常任指揮者に向ける拍手も盛んであった(カーテンコールにおける京響の楽員たちの聴衆に向ける笑顔もいつもながら快い)。彼女の今後の活動に祝福がありますよう。

コメント

京響さんの笑顔!

いつも感じるのですが、カーテンコールでの京響さんの笑顔が、素敵です。こうした点も含めて、私的には、全国ベスト3です。カーテンコールでの笑顔で、「拝聴できて良かった!」という気持ちが強くなります!

前日の京都での定期演奏会はどうしても聴きたかったのですが、体調が悪く、残念ながら聴き逃しました。
1962年、私は国分寺にある会社の事業所で働いていましたが、当時N響の定期会員になっていて、午後5時に会社を飛び出し、東京文化会館に時間ギリギリに飛び込んでいました。7月定期のトゥーランガリラ交響曲は確かに聴いた記憶がありますが、今のように何でも聴くことが出来る世の中でなかった当時の私にはまだ、珍しい曲を聴いたという印象に終わってしまった気がします。それにしても61年も前にこんな曲を日本初演したというのは、今から考えると驚異というほかありません。
その後、例の不幸な事件が起き、すっかり嫌気がさしてN響の定期会員を止めてしまいました。

余談ですが、今の万能オケN響の基礎を築いたのはヴィルヘルム・シュヒターだと思います(N響はこの人もあまり好きではなかったようですが)。それ以前のN響の常任指揮者はオートリア系の人ばかりで、アンサンブルも何もゆるゆるで、危ない演奏が少なくなかった記憶があります。

先生ご指摘の謎の4分音符。私もはっきり聴き取れました。
しかも提示部をリピートしたので2度もドキリとさせられました。
書き間違いなのか印刷ミスなのか私には分かりませんが、
珍しい演奏が聴けて得した気分です。

沖澤さんと京響の9月・10月

 わたしは前日の京都での定期で同じプロを聞いていました。
 コネソンの日本初演は、京響の集中力も途切れることなく、また客席も、沖澤さんと京響の説得力にノッて?、三部の終止と同時に拍手が沸き起こったのでした。

 沖澤さんのタクトも、モーツアルトやベートーヴェン、メンデルスゾーンの時とはちがって、ビートと身のこなしが鮮明で、これあってこそ京響も、満員の客席もついてゆけたのだろうと感じています。

 今回は、翌日に一緒に東上することができませんでしたので、サントリーホールでの東京公演も成功だった由、ほっとしています。

 その京都のカーテンコールは、明るいなんてものではなくて、ほとんど大喜利状態でした。
 就任前の客演は一回だけ。定期もやっと二回目ですが、ステージも客席もここまで変わるものかという思いが強いのですね。

 ベートーヴェンの4番は、広上さんと京響がはじめて東京公演をした際、メインだったものでした。それは就任四年目のことで、それも地方オケフェスの招待だったことを思えば、京響の評価も上がったものです。
 首都圏でご評価くださったみなさんと、広上さんには、あらためて感謝の気持ちが湧いてきます。

 昨日の10月1日の京響は、こども券の設定もある「オーケストラ・ディスカバリー2023 」シリーズで、沖澤さんがベートーヴェンの1357とフィデリオから抜き出しを聞かせつつ、最後は合唱の四楽章で締めたのでしたが、終始14型、会田さんのコンマス、管楽器も主席がほとんど乗っていました。そしてコネソンにも劣らぬ集中力がありました。
 司会のロザンさんと沖澤さんの対話を、ほとんど聞き逃すまい、と演奏休止中も視線を沖澤さんの背中に集める京響のメンバーは、えらいものでした。

 例によっていつもの身内? 誉めになってしまいましたが、登場のじつに少ない沖澤さんは次回1月定期が今シーズンの打ち止め。
 また、いつものお願いですが、沖澤さん采配のホームゲーム、そのホームチームを応援する客席の様子もご覧に、どうぞまた京都にお越しになってください。
 こころよりお待ちしています。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中