2024-03

2023・9・27(水)藤村実穂子リサイタル

       東京文化会館小ホール  7時

 これは「プラチナ・シリーズ」の一環。満席の聴衆を集めて行われた。ピアノはヴォルフラム・リーガー。

 プログラムは、モーツァルトの「静けさは微笑み」「喜びの鼓動」「すみれ」「ルイーゼが不実な恋人の手紙を妬く時」「夕べの想い」で始められ、マーラーの「さすらう若人の歌」、ツェムリンスキーの「メーテルリンクの詩による6つの歌」、細川俊夫の「2つの日本の子守唄」と続く。アンコールで歌われたのはツェムリンスキーの「子守唄」「春の日」「夜のささやき」の3曲。

 藤村実穂子の歌唱が、歌詞に応じて、あるいは曲想に応じて、歌の表情が虹の色のように変化して行く素晴らしさには、ただもう感嘆するしかない。やはりこの人は、わが国の歌手の中でずば抜けた存在である。
 かつてワーグナーの作品を歌ってバイロイト祝祭劇場の空気をビリビリと震わせたあの名唱は今でも鮮明な記憶となっているが、あの頃もすでに彼女の歌唱には、ドイツ語の表現に見事なニュアンスが溢れていた。今では、それが歌曲を歌う時に、いっそう輝いて出るのだろう。

 この日、私にとって最も印象深かったのは、マーラーの「さすらう若人の歌」だった。オーケストラと違って、リーガーのピアノは伸縮自在、極度のリタルダンドをも随所に出現させる。それはもちろん彼女の解釈に基づくものだろうが、そこで示される沈潜した表現は、この歌曲の主人公の感情の複雑さを映して余すところがない。そこまでやられてはとても耐えられない、とまで思わせられるほどの微細な表現だったが、強烈である。

コメント

完璧な歌唱!

小生も拝聴いたしました。音楽的な表現の深さは勿論すごかったですが、過去に声楽を習っていた小生としては、彼女の完成された歌唱法、低域から高域までシームレスな音色、実になめらかな音量調節、完璧なレガート、高音域のgirareの見事さなどに圧倒されました。声楽を勉強している方、特にアマチュアの合唱団で活動している皆さんは彼女のリサイタルに行きましょう。ステージに近く、それも正面ではなく、斜めから彼女の歌う姿を見ることができる席がおすすめ。彼女の歌っているときの姿勢を見るだけで勉強になりますよ。

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