2024-03

2023・10・4(水)新国立劇場「修道女アンジェリカ」「子どもと魔法」

      新国立劇場オペラパレス  7時

 新国立劇場の新シーズン開幕公演。オープニング公演としてはちょっと変わったプログラムだが、「母子の愛のダブルビル」というコンセプトを聞いて、なるほど、そういう捉え方もあるか、と納得した。
 指揮は沼尻竜典、演出が粟國淳、美術が横田あつみ、照明が大島祐夫である。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。

 第1部は、プッチーニの「修道女アンジェリカ」。キアーラ・イゾットン(アンジェリカ)、斉藤純子(公爵夫人)、塩崎めぐみ(修道院長)その他の歌手陣。
 第2部がラヴェルの「子どもと魔法」で、クロエ・ブリオ(子ども)、斉藤純子(お母さん)、田中大揮(肘掛け椅子他)、盛田麻央(安楽椅子他)、三宅理恵(火他)、河野鉄平(柱時計他)その他の歌手陣。

 アンジェリカのイゾットンは少し叫び過ぎの感があったけれども、愛する子の死を聞いた母の絶望を、激しい感情の爆発の形でよく表現していただろう。
 いっぽう、冷徹な公爵夫人を歌い演じた齊藤純子は、演技にはもう少し凄味が欲しかったものの、歌唱の上ではアンジェリカを圧迫する強い存在感を聴かせてくれた。彼女は「子どもと魔法」では一転して優しいお母さんの役柄を受け持ったが、但しこちらの方は出番が少ない。

 今回の二つのプロダクションで際立ったのは、回転舞台やセリなど、劇場の持つ舞台機構を久しぶりに活用したことだろう。新国立劇場にはせっかく優れた舞台機構が備わっているのに、開館以来、それを使いこなした演出があまりに少ないことを残念に思っていた。今回の「子どもと魔法」では、そのセリと映像とを巧く組み合わせ、メルヘン的な楽しさを出すのに成功していたと思われる。

 ただ、不満を言えばこの「子どもと魔法」、演出に━━いや、振付か?━━に少々雑然とした印象が感じられなくもなく、とりわけ物語の転回点となるはずの、子どもがリスの傷の手当てをしてやったことに動物たちが驚き、いっぺんに子どもの味方になってしまう個所での描写があまり明快でなかったことに物足りなさを感じた次第である。またこの部分での字幕にも、もっと主語を明確にするなどの工夫が欲しかったところだ。

 西のびわ湖ホールで盛名をとどろかせた沼尻竜典が、やっと新国立劇場のシーズン開幕公演を指揮するという世になったのは、祝着である。欲を言えば音楽にもう少し滔々とした、一貫した流れがあったらとは思ったが、今後に期待しよう。彼は来月も日生劇場でヴェルディの「マクベス」を指揮することになっている。

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