2023・10・12(木)金沢の沼尻竜典指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
石川県立音楽堂コンサートホール 7時
日本オーケストラ連盟が各オーケストラと共同で主催する「オーケストラ・キャラバン」の一環。大阪フィルが石川県立音楽堂のホールでどのような音を聴かせるかに興味があったので、北陸新幹線に飛び乗って聴きに行く。
6時15分から2階ホワイエでプレトークがあると聞き、覗いてみる。バー・カウンターがある場所なので、ジュースやコーヒーを前に話を聞いている人も多く、寛いだ楽しさが感じられる。
トークは、大阪フィルの演奏会だから、てっきり大阪フィル(沼尻竜典マエストロ、福山修事務局長)だけのプレトークかと思っていたら、何とこの石川県立音楽堂をホームグラウンドとするオーケストラ・アンサンブル金沢(アーティスティック・リーダーの広上淳一マエストロ、床坊剛ゼネラルマネージャー)も一緒に台上に乗って喋っている。そして先に大阪フィル側が退場すると、そのあとはOEK側がオケのPRをして締めて行った。何ともしたたかなこの戦略には、なるほどと感心させられ、笑いを誘われた次第。
さて、肝心の大阪フィルである。今回、沼尻竜典の客演指揮により行われているキャラバンは、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲、サン=サーンスの「チェロ協奏曲第1番」(ソリストは佐藤晴真)、ブラームスの「交響曲第4番」というプログラム。コンサートマスターは崔文洙。
オーケストラは弦14型編成で乗り込んで来て、序曲と交響曲ではその編成で演奏した。この石川県立音楽堂は、フェスティバルホールのような巨大なホールではないので、今回の編成は当を得ていたであろう。オーケストラの響きが、いつもより明るく感じられたのはホールのアコースティックの所為か、それとも沼尻竜典の指揮の所為か。
「4番」は、第2楽章の半ばから勢いに乗ったという感だ。同楽章後半の弦の厚みある音、第3楽章での強い推進力、第4楽章での沈静と昂揚の交錯などが印象に残ったが、力感は充分で、そのへんが大阪フィルらしい。
ただ、大阪での定期公演や、東京での演奏で聴く大阪フィルに比べると、この「4番」の性格からみれば、やや自由な感じの演奏であったと言えるかもしれない。それでも冒頭の序曲に比べれば、よほど神経を行き届かせた演奏に聞こえたことは確かであろう。
そして、アンコールで演奏した、同じホ短調のドヴォルジャークの「スラヴ舞曲作品72の2」が耳に残る。
協奏曲では、佐藤晴真の瑞々しい生気にあふれた伸びやかな演奏が快い。曲の終結では大いに昂揚し、オーケストラもサン=サーンスの作品としてはダイナミック過ぎるほどの盛り上がりで頂点をつくり上げて行った。
日本オーケストラ連盟が各オーケストラと共同で主催する「オーケストラ・キャラバン」の一環。大阪フィルが石川県立音楽堂のホールでどのような音を聴かせるかに興味があったので、北陸新幹線に飛び乗って聴きに行く。
6時15分から2階ホワイエでプレトークがあると聞き、覗いてみる。バー・カウンターがある場所なので、ジュースやコーヒーを前に話を聞いている人も多く、寛いだ楽しさが感じられる。
トークは、大阪フィルの演奏会だから、てっきり大阪フィル(沼尻竜典マエストロ、福山修事務局長)だけのプレトークかと思っていたら、何とこの石川県立音楽堂をホームグラウンドとするオーケストラ・アンサンブル金沢(アーティスティック・リーダーの広上淳一マエストロ、床坊剛ゼネラルマネージャー)も一緒に台上に乗って喋っている。そして先に大阪フィル側が退場すると、そのあとはOEK側がオケのPRをして締めて行った。何ともしたたかなこの戦略には、なるほどと感心させられ、笑いを誘われた次第。
さて、肝心の大阪フィルである。今回、沼尻竜典の客演指揮により行われているキャラバンは、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲、サン=サーンスの「チェロ協奏曲第1番」(ソリストは佐藤晴真)、ブラームスの「交響曲第4番」というプログラム。コンサートマスターは崔文洙。
オーケストラは弦14型編成で乗り込んで来て、序曲と交響曲ではその編成で演奏した。この石川県立音楽堂は、フェスティバルホールのような巨大なホールではないので、今回の編成は当を得ていたであろう。オーケストラの響きが、いつもより明るく感じられたのはホールのアコースティックの所為か、それとも沼尻竜典の指揮の所為か。
「4番」は、第2楽章の半ばから勢いに乗ったという感だ。同楽章後半の弦の厚みある音、第3楽章での強い推進力、第4楽章での沈静と昂揚の交錯などが印象に残ったが、力感は充分で、そのへんが大阪フィルらしい。
ただ、大阪での定期公演や、東京での演奏で聴く大阪フィルに比べると、この「4番」の性格からみれば、やや自由な感じの演奏であったと言えるかもしれない。それでも冒頭の序曲に比べれば、よほど神経を行き届かせた演奏に聞こえたことは確かであろう。
そして、アンコールで演奏した、同じホ短調のドヴォルジャークの「スラヴ舞曲作品72の2」が耳に残る。
協奏曲では、佐藤晴真の瑞々しい生気にあふれた伸びやかな演奏が快い。曲の終結では大いに昂揚し、オーケストラもサン=サーンスの作品としてはダイナミック過ぎるほどの盛り上がりで頂点をつくり上げて行った。