2023-12

2023・11・16(木)バッティストーニ指揮東京フィルのチャイコフスキー

         東京オペラシティ コンサートホール  7時

 イタリアの熱血指揮者アンドレア・バッティストーニが、チャイコフスキーを振る。幻想曲「テンペスト」、「ロココの主題による変奏曲」(ソリストは佐藤晴真)、幻想序曲「ハムレット」、幻想序曲「ロメオとジュリエット」というプログラムだ。
 東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターは三浦章宏。

 変奏曲を除く3曲━━テンペスト、ハムレット、ロメジュリは、いずれもシェイクスピアの戯曲を素材としたものだ。巧い選曲である。こういう選曲は、ラジオ番組では時々やる手だが、演奏会ではあまり行わない類のものだろう。
 しかし、このようにまとめて演奏されたのを聴くと、やはり「ロメオとジュリエット」の良さが再認識されるというもので、他の2曲は滅多に演奏会のプログラムに乗せられないという理由もまた、再認識させられてしまうのは事実だ。
 ただ、「テンペスト」にしろ「ハムレット」にしろ、主題に所謂「チャイコフスキー節」の魅力が感じられるのは確かで、私にとっては以前訪れた真冬の雪世界のロシアの光景も思い出され、不思議な懐かしさに引き込まれてしまうのである。

 バッティストーニと東京フィルは、やはり「ロメオとジュリエット」で獅子奮迅の演奏を聴かせてくれた。この熱狂的で劇的な演奏は、今日のプログラムの中でも随一のものだったし、また最近聴いた同曲のナマ演奏の中でも、群を抜いて凄まじいものだったと言えるだろう。終わり良ければ総て良し、という感である。

 なお、それとは別に、2曲目に演奏された「ロココの主題による変奏曲」(原典版)での、バッティストーニと東京フィルの柔らかく優しい表情に富んだ演奏は、他の3曲でのそれとの見事な対比を為していた。ここでの佐藤晴真の瑞々しいソロは、アンコールとして演奏したバッハの「無伴奏チェロ組曲第6番」からの「サラバンド」とともに、この上なく魅力的なものだった。

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