2024-04

2024・2・13(火)山田和樹指揮読売日本交響楽団

       サントリーホール  7時

 山田和樹の、ほぼ6年間に及んだ読響首席客演指揮者としての最後のシーズン、その東京最終公演が今日の「名曲シリーズ」になる。R・シュトラウスの「ドン・ファン」、ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」(ソリストはシモーネ・ラムスマ)、フランクの「交響曲ニ短調」というプログラムが組まれた。コンサートマスターは長原幸太。

 山田和樹、ますます大きく、いい指揮者になって来たな、ということが、演奏会を聴くごとに感じられる最近である。音楽の構築の仕方に明確な方向と確信が感じられ、オーケストラの制御にも一段と強靭さが加わって来た。小澤征爾亡き後、国際的な活動を最も活発に繰り広げる日本人指揮者としての期待がかかる存在だろう。

 「ドン・ファン」の演奏での猛烈な推進性は、この曲の主人公をいっそう闊達な、エネルギッシュな人物として描き出していただろう。
 一方、フランクの「交響曲」では、この渋い曲が驚くほど豪壮華麗な響きと激しいエネルギー感で演奏されたのには驚かされたが、なるほどこの交響曲には、こういう要素も内含されていたのかもしれない、と思い直しながら聴いていた。

 昭和16年に初版が出たあらえびすの名著「樂聖物語」の中で、フランクのこの交響曲について「構造の雄大壯麗さと・・・・」と形容され、「レコードはストコフスキーがフィラデルフィア管絃團を指揮した豪華な演奏を以つて第一とする」(原文のママ)と書かれてあったのを読んで、そんな演奏でこの曲が成り立つのかな、とこれまで訝っていたのだが、今日の山田和樹と読響の演奏を聴いて、何となくその文章の意味が解ったような気がする。

 面白かったのは、ラムスマをゲスト・ソリストにしたブルッフの協奏曲だ。このオランダの女性ヴァイオリニスト、ラムスマは、驚くほどゆったりとした濃厚な、しかし深みのあるソロでこの曲を弾いたが、これをサポートした山田和樹が、実に風格豊かなスケールの大きな、しかも陰影に富んだ表情を読響から引き出し、ラムスマのユニークなソロに応じていたのである。私の印象では、今日のヤマカズさんの指揮の中で、最もただものでない才能を感じたのは、このブルッフのオーケストラ・パートの扱いなのだった。

 ラムスマは、もちろんソロ・アンコールを弾いた。ブルッフでのようなしんねりとした重い演奏がまた出て来たらちょっと閉口だな、と身構えたのだが、いざ弾き出したイザイの「ソナタ第2番」の第4楽章の奔放激烈で強靭なこと。ブルッフの時とは別人のようなスタイルの演奏である。客席もこの時は一気に沸いた。

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