2024-03

2009・5・18(月)クリスティアン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル

   サントリーホール

 バッハの「パルティータ第2番」、ベートーヴェンの「ソナタ第32番」、ブラームスの「4つの小品」、シマノフスキの「ポーランド民謡の主題による変奏曲」というプログラム。

 4種の曲の流れの中で、音色が次第に分厚く変化して行く面白さを聴かせるあたり、プログラミングの妙と言うべきだろう。バッハの清澄さ、ベートーヴェンの堅固さ、ブラームスの重厚さ、いずれも卓越した自在の境地の演奏だが――やはり最も情熱的で壮絶だったのは、最後のシマノフスキの変奏曲であった。

 ここに至ってツィメルマンは、もはや自己のすべてを解放して故国の作曲家に愛と共感を捧げているように思われる。後半に向けて強烈なダイナミズムを積み重ねて行く息を呑ませるような凄まじさも、それまでの3曲における彼の演奏とは想像を絶するほどの違いがある――もちろんそれは意図的な演奏設計によるもののはずだが。

 最後の「ダメ押し」に次ぐさらなる「ダメ押し」のような盛り上げを圧倒的に創り上げて行く彼のあの演奏を聴いていると、曲が終らぬうちに拍手を始めてしまった人の心情も理解できるような気もする。ただ、それ以降も曲が続いているのに拍手を執拗に続けて止めなかったその人の態度は、不遜に過ぎるだろう。

 アンコールはなかったが、このシマノフスキのあとにそれを求める人は、多分いなかったのではないか。それほど充実した演奏会だった。

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