2024-02

2009・7・28(火)フェスタサマーミューザKAWASAKI 3日目
下野竜也指揮読売日本交響楽団のワーグナー

   ミューザ川崎シンフォニーホール マチネー

 川崎のフェスタでも、平日のマチネーだとこうなってしまうのか、5割程度の入りというのは寂しい。
 15,6人しかいない4階席の正面でじっくり聴いた。ここはなかなか音が良い。細部は飽和的な音に響いてしまうため批評には向かないけれども、のんびり聴くには絶好の場所だ。

 全ワーグナー・プロで、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕前奏曲と第1幕前奏曲とを前後に置き、真ん中に「タンホイザー」序曲、「ジークフリート牧歌」、「神々の黄昏」からの「ジークフリートの葬送行進曲」(プログラムには「ジークフリートの死」も掲載されていたが、そこは演奏されなかった)という組み合わせ。
 読売日響は持ち前の分厚い豪壮な響きで――こういう音が出せるのは、日本ではこことN響だけだ――最後の2曲と、アンコールの「ワルキューレの騎行」では、ホールをいっぱいに轟かせた。

 ただ、下野の採ったテンポは、極度に遅い。
 遅いこと自体は悪くはないが、緊迫感と表情の変化に欠けるきらいがあるのが問題であろう。
 「タンホイザー」序曲では、全体がただ暗く重い流れに終始してしまう。そのため、「巡礼の合唱」の動機と、官能のヴェヌスブルクの世界との対比が明快に描かれないという結果になる。
 また「ジークフリート牧歌」は、舞台の山台を「階段」に見立てて17人の奏者を斜め縦列に並ばせ(初演の際のエピソードを参考にした凝ったアイディアだ)、照明を落し、インティメートな雰囲気を舞台上に作って演奏したのはいいが、ここでも各動機のニュアンスが淡彩ゆえに、ハインツ・レーグナー並みの遅いテンポが生きて来ないのである。

 「葬送行進曲」では、この遅いテンポが良い効果を上げており、「死の動機」がディミヌエンドする個所でも重厚なリズム感で成功していた。「遅い」のではなく、むしろこれがこの曲の理想的なテンポであろうと思う。
 ただし欲を言えば――エンディングがティンパニの一音のみだったのには拍子抜け。全曲楽譜にこだわりすぎたのか。せっかく演奏会用の版があるのだから、それを使って終結感を出した方が聴き手には充足感を与えたろうに。

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