2024-03

2010・1・14(木)ズデニェク・マーカル指揮プラハ交響楽団

  サントリーホール

 「マーカル指揮――」のポスターが出ているロビーで、レコード売り場のスタッフが「マーツァルのCDをお買い上げの方にはサイン会を――」と叫んでいる。どっちの表記も正解らしいから、それぞれ譲らないようだ。
 指揮者ご当人は「マ(-)カルと(英語読みで)呼んでくれ」と言っていたのを私も直接聞いている。「のだめカンタービレ」のビエラ先生役での表記も、TVでは「マカル」となっていたはず。もっとも、パーティではチェコ大使館の人が「ミスター・マチャル」と呼んでいたっけ。

 それはともかく、プラハ響と、首席指揮者イルジー・コウトの代役として来日したマーカルとが今日演奏したのは、「未完成交響曲」、ショパンのピアノ協奏曲第1番(ソロは仲道郁代)、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」の3曲だった。

 ショパンの協奏曲を除く2曲は、今回の日本ツァーの中では、今日だけのプログラムである。
 「未完成」は、あまり念入りに練習したとも思えない演奏ではあったものの、冒頭の低弦の渋いが艶やかな光を放つような音色にハッとさせられたのをはじめ、全曲に流れる温かい情味のようなものに、不思議な懐かしさを抱かせられる。

 「シンフォニエッタ」は、多分彼らにとっては、体の中に染み込んでいる作品であろう。この演奏にあふれていた郷愁的な雰囲気は独特のもので、ヤナーチェクの音楽がこれほど柔らかく温かく演奏されるのを聴いたことは、めったにない。特に中間の3つの楽章では、作曲者の晩年の滋味といったものが浮彫りにされていたように思われる。
 P席のオルガンの下にずらり並んだ11人の金管ファンファーレは日本勢だが、これはなかなか強力で、2階正面の席からは、オーケストラを霞ませるほどの勢いに聞こえるほどだった。したがって終楽章の大詰めなど、ファンファーレを受けて沸き立つオーケストラ本体の響きにもっと陶酔的な凄味も欲しいなと感じたのも事実である。
 だが総じて、ただの賑やかで騒々しい作品に堕することなく、しっとりした美しさに重点を置いた演奏になっていたのは、マーカルとこのオーケストラの一つの見識であろう。

 協奏曲は、これも柔らかい音楽だった。仲道郁代のソロも同様、特に第2楽章での詩的な表情に満ちた演奏は出色のものであろう。久しぶりに彼女のショパンの協奏曲をナマで聴いたが、この温かい――というよりは「暖かい」の字を使った方がぴったりの演奏は、極めて快いものであった。

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