2024-03

2010・1・30(土)ナントの「ラ・フォル・ジュルネ」(第4日)
ルイス・フェルナンド・ペレスのリサイタル

   サル・ヴィアルド (14時00分~15時05分)

 ルネ・マルタン(総合プロデューサー)イチオシの若手ピアニストというルイス・フェルナンド・ペレスのリサイタルを、サル・ヴィアルドで聴く。容貌は遠くで見るとオトナっぽい。しかしこれは――流石に大物だ。強烈な自己主張がある。

 300人の小さなホールなのに、大ホールと同じフォルティシモを轟かせるのはどうかと思うが、しかし音には濁りが少なく、明るさと清澄さが保たれているのがいい(ピアノはスタインウェイだ)。表現もすこぶる多彩だ。
 「バラード第1番」が持って回ったテンポで始まった時には、もしかしたらポゴレリッチ系かとギョッとしたが、幸いにそうではなかった。しかし、遅いテンポの部分を、音を一つ一つ踏みしめるように演奏するタイプであることは確かである。

 「ワルツ 作品70の3」のあとに続いた「ノクターン」の「作品27」と「作品48」各2曲ずつの演奏は見事なもので、特に「作品27の2」での暗い圧迫感、深淵に誘い込むかのような暗鬱さは物凄く、昨日のルイサダよりも強烈だろう。「作品48の1」の中間部は、私が好きな毅然たる行進曲調の曲想だが、ここがこれほど轟き、牙を剥くような激しさで演奏されたのは聴いたことがなかった。

 照明を暗くして弾かれたこの曲までが、演奏の内容から言えば傑作に属するだろう。そのあとは何故か照明を明るくしてしまい、あたかもアンコールのごとき趣になったが、プログラムには当初から予定されていたものである――「ワルツ変ホ短調 遺作」、そして「スケルツォ第3番」。演奏もかなり解放的になった。

 手拍子に乗ったペレスがアンコールを弾こうとした途端、係員のおばさんが駆け寄って「ホールの時間切れ」を宣言。ブーイングが起こったが、それに対し、おばさんが「おお怖い!」という表情でおどけながら逃げ出してみせたため、場内は大爆笑に包まれ、和気藹々のうちにコンサートは終った。

 マルタンも認めていたことらしいが、ショパンの場合には作品の総演奏時間がそれほど多くないので、「ラ・フォル・ジュルネ」でプログラムを組む時には、かなり苦労もあるようである。
 しかも演奏される曲は、やはりある程度限られる。いきおい、同じ曲がいろいろなピアニストにより何度か演奏されることになる。他の作曲家の作品も交えて組まれるのは致し方ないことだろう。
 しかしそれゆえ、時間をおかずに、いろいろなピアニストにより好きな曲を聴き比べられる、という面白味がある。それがこの「ラ・フォル・ジュルネ」のいいところでもあろう。

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